ブレードランナー


割とあちこちで名前だ聞いたことがあるので、気になって見た作品。


舞台は近未来。人間の代わりとして精巧なロボットが作られていたが、人間とほぼ変わらない外見で人間以上の性能を持っていた。しかし、ロボットは人間と変わらない外見でありながらも過酷な労働をさせられ続けていたことに反感を持っていた。

ロボットの自由を得るために人間に立ち向かうロボットたちを捕まえる人をブレードランナーと呼んだ。


というのが今回のストーリー。最初に世界観を説明するテロップが流れたのだけれど、その時点ではターミネーターみたいなSFアクションかと思ってた。


ところが実際の中身はアクションは多くなく、『自分が人間であると勘違いしたロボット』とか『人間よりも寿命が短く、人間よりも過酷な労働を強いられたロボットの気持ちとは』といったSF哲学的な話だった。

SFヒューマンドラマとして見るとこの作品はかなり面白いと思うのだけれど、アクションを期待していた自分には地味な展開と場面が転々としてしまってかなり肩すかしを食らった気分だった。

ロボットの話とかそういう設定が興味深かっただけにちょっとがっかり。いや、アクションを期待した時点で間違いだったのだけれども。

大停電の夜に

泣けるラブストーリーを探そうとして選んだ映画。個人的には可もなく不可もなくといった内容。


定年退職した夫婦の元にかかってきた電話。それは生き別れになってしまった息子からの電話だった。

一方その頃、ヤンキー風の男性が街中で出会った女性は昔の恋人だったが、すでに結婚し2人目の子供を身ごもっていた。

一方その頃、不倫関係を終わらされた女性がエレベーターで泣いていた。

一方その頃、ガンの手術を目前にしていた少女が自殺しようとしているところを少年は目撃していた。

一方その頃、蝋燭専門店の近くのバーは店を閉店することを決めて最終日の営業をしていた。

一方その頃、夫に急な仕事が入ってしまって前から約束していた食事をキャンセルされた主婦がいた。

そんな中、関東に大停電が発生した。



……というストーリー。要するに停電していたときにこういうドラマチックなことが起きてたんだよ、という群像劇。

個人的に群像劇が苦手で、理由としてはあっちこっちに話が飛ぶからというのがある。今回の話だと5組のグループがいるのだけれど、全部がバラバラに動いているわけだ。

群像劇であっても、最終的に全グループが一同にそろって行動するのであれば問題ないのだけれど、全部がバラバラだとそれぞれが薄味になってしまうのでイマイチ集中できない。

たとえるなら、海鮮丼ならいいけれど、刺身盛り合わせは苦手といった感じ。


というわけでこの作品は自分には合わなかった。完全にバラバラというわけではなく、複数グループが後で合流したりするのだけれど、全部が合流するわけではなかったり、それぞれが相互作用を持って進展するわけでもなかった(妊婦グループと老夫婦グループは若干そういう作用があったけれども)のが個人的に今一つな原因。

設定はおもしろかったのだけれど、グループが多すぎて、一つのグループの話が中途半端になってしまい、全体的なオチも微妙だったため、どうにも不完全燃焼な作品だった。

トロン:レガシー

トロン:レガシー [Blu-ray]

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TSUTAYAにやたらと置いてあったので面白いんだろうと思ってレンタル。

率直な感想としてはCGは良いけれどストーリーがいまひとつ。


主人公は子供のころ、父親からトロンの話を聞かされていた。トロンってのはSF系のヒーローで、ゲームにもなってる。「明日はゲーセンに行こうな」と父親から言われるものの、失踪。

数十年後に父親の知り合いからポケベルを渡される。それに導かれて古びたゲーセンに行くと、トロンの筐体が置いてあった。主人公はそれをプレイしようとするが、その筐体が動くことに気づく。筐体を動かすと隠し扉があり、そこの先からゲームの世界に入ることができた……。


というのが大まかなストーリー。


ゲーム内の世界は実にSFチックで、太陽の光がなくて人工の光ばかりなのが雰囲気を増していた。こういうSF系でありがちな『無理やり戦闘に参戦させられる』のはお約束だけど、その戦闘はなかなか面白い。

この作品の中では円盤投げ対戦とレース対戦があって、どちらもCG使いまくりで非常に面白かった。特にレース対戦のほうは「こういうゲームあったら楽しそう」と思えるぐらい。


が、一方でストーリーが今一つだった。ゲーム内の世界での再開、そこからの脱出という大まかな流れはともかくとしても、ハラハラドキドキ感が欠けるし、なんとなく展開も読めてしまった。登場人物がそこそこ多いものの、割と唐突に登場するのでポカーンとしてしまった。


個人的にはオチが非常に今一つで、なんで魔法が使えるんだよとか、なんで二人なんだよとかいろいろとモヤモヤしてしまった。


ググってみたけど、どうやらトロンからの続編だった様子。前作を見れば面白さが増すのかなぁと思ったけど、まだ見てないのでそこまでの評価はできず。とりあえずこの作品だけで言えばガッカリ映画だった。

小悪魔はなぜモテる?!

小悪魔はなぜモテる?! [DVD]

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なぜ青春映画の邦題は売れない新書みたいなタイトルなのか?(原題は『Easy A』)


という質問はさておき。アメリカの学園青春映画でした。


主人公はモテない女の子だったけど、あるときつい口が滑って「セックスした」と嘘をついたらカトリック信者に聞かれてビッチの噂を広められてしまったという話。


スクールカーストが広まっててアメフトとチアがトップで、トップクラスの人はみんなセックスしまくりでレベルが低い人はそれを羨んでる……というのが自分の中でのアメリカのハイスクールのイメージだったんだけど、どうやら学校によっても違うらしい。今回のは公立高校とのことだけど、アメフト部が全然出てこない。


あと、アメリカってやたらとゲイがネタにされていじめ対象にされてるイメージなんだけど、この映画はそれがすごく強く出ていたと思う。なんか『オタクということがバレるといじめられる』のと同じ(かそれ以上)の凶悪さというか。もちろん一般社会じゃそうでもないんだろうけど、学園モノの映画だと大体そういう感じ。


という点が自分としては面白かった。特に前述の『みんなセックスできる美男美女になりたがってる』という偏見は学校によって違うんだな、と。

ストーリーとしては冒頭に説明した通りの展開で、内容としても予想できる展開。ただ、主人公が開き直ってビッチの振りをし続けた結果、味方をしてくれる人がどんどん減っていったというのはものすごく怖かったけどリアルだなーとも思った。リアクションが派手だからコメディチックだけど(「退学しろー!」ってプラカードを持ってデモしちゃうシーンとか)、それに近いことは日本の学校でもあるしなぁ。

あと、オチが若干弱かった。他人の秘密も自分の嘘も全部ばらした結果、みんなと仲直り出来て嫌な奴がいなくなってめでたしだ!って展開は安直だけど、このオチは微妙だ。

でも今までの流れだとこのオチ以外にありえないよなーとも思ったり。その辺もまたリアルでよかったのかもしれない。

2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

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木星に調査に行く2人+冷凍睡眠の3人。制御装置のロボットが故障を事前察知するものの、実際には問題なし。そこで主人公2人はそのロボットの動作を停止させることを計画するが……という展開。



宇宙旅行というのが身近になった世界観のため、飛行機で移動するのと同じ感覚で惑星間を移動する風景が非常に面白かった。無重力ということを表すためにわざわざ床→壁→天井と移動したりするのだけれど、いったいどうやって撮ってるんだと。


あと、宇宙空間が基本的に無音ってのはすごく斬新。たとえば宇宙空間でレバーをひねるときに音が鳴る(ギギギ、とか)のが普通の演出なんだけど、この作品では基本的に無音だったのが斬新。とはいえ、宇宙空間移動中はクラシックが流れてたりしたけど。


そして、冒頭で紹介したロボットとのせめぎ合い。人間は不完全だがロボットは完全、ではロボットが誤作動したときは?みたいな展開は非常に手に汗握る展開だった。


でも、それってたぶん60分ぐらいなんですよね。調査に行って、トラブルがあって、ロボットと交渉して解決までが。


しかもその展開に入るまでに宇宙旅行の紹介をしてるのがものすごく間延びしてた。雰囲気はいいのだけれど、『ゆっくりと雰囲気を描く』ため、観ててすごく退屈。ハリウッド映画のアクションものと違って爆発も無いし。


そして極めつけはロボットとの交渉が終わってからの哲学的な展開。哲学的というとカッコいいけど、不協和音みたいなBGMに合わせてサイケな映像が流れ続けて時折 隊員の叫び顔が挿入される。しかも長い。


部屋のシーンも全く意味が分からなかったし、ラストのオチもぶっ飛びすぎてた。映画冒頭の自然シーンもわけが分からなかったが、終盤は作者がコカイン決めてるんじゃないかと思うほど。



中盤だけ観ればなかなか面白かったのだけれど、それ以外が間延びしすぎてて個人的にはつまらなかった。宇宙旅行の演出がよかったけれど、それだけなんだよなー。

タイタニック

失禁しそうになるぐらい長い映画。195分もあるのに途中休憩なしという長さ。3時間15分って。コーヒー飲みながら見るべきではない映画。


内容としては普通のラブストーリー。オチが既に分かってる(だって豪華客船が氷山にぶつかって沈むってのは確実だし)(さらに言えば冒頭で解説されてるし)のだけれど、そうと知りつつも「これからどなるのか」というハラハラドキドキは非常に素晴らしい。



主人公は絵を描きながら全国を転々とする青年、そしてヒロインは没落貴族で好きでもない相手との結婚を控えた女性という割とありがちな設定。その二人が偶然同じ船に乗り、恋に芽生える……といういわゆる身分違いの恋愛。


設定はスタンダードなので、展開も割と予想通りの展開。主人公とヒロインが恋をして、結婚相手とひと悶着あって、恋を妨害されたりするけど関係が深まって……という。よく言えば王道だし、悪く言えばありがち。


しかし中盤の氷山激突からはパニック映画としての展開になるのだけれど、すごくしっかりしたセットと大勢のスタッフとCGでとても迫力がある。金をかけてガッツリ作ると迫力違うなーって感じ。


身分格差とか、船の構造(脱出ボートの数など)とか、氷山にぶつかるまでの船の移動とか、そういう伏線をあっちこっちにちりばめてるので、違和感のない展開。『ああ!あれが原因でこういう展開に!!』だけでなく『ああ言ってたからこう行動しないと助からない!!』というハラハラドキドキもある。




どこまでが実話だか分からないけど、ちゃんとした取材に裏付けられた意沈没までの展開と、それに迫力を持たせる舞台装置、さらにみんなが楽しめるように恋愛要素に重点を置いたストーリー。売れるだけの要素を詰め込んでちゃんと売れた素晴らしい映画だなーって思う。



でも長すぎだと思う。休憩があってもいいのに。

ウルヴァリン

正式タイトルは『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』X-MENは名前と一部のキャラの外見だけ知ってたので、なんとなく観てみた。


1845年のカナダで、若きジェームズ・ハウレットはグランドキーパーをしていたトーマス・ローガンによって父親が殺害されるのを目撃する。そのショックによってジェームズのミュータント能力が覚醒し、骨の鉤爪が手から生え、そしてローガンを刺し殺した。だがローガンは死の間際に自分こそがジェームズの父親であると告げる。ジェームズはその後、以後1世紀以上にわたって兄のビクター・クリードと共に生き延び、南北戦争や2度の世界大戦に参加して戦い方を学んだ。ベトナム戦争のときに、ビクターは村人へ暴行を行おうとし、さらに上官を殺してしまう。ジェームズは兄をかばったため、2人は銃殺処刑されるが、再生能力のために失敗した。そこへ軍人のウィリアム・ストライカーが現れ、エージェント・ゼロ、ウェイド・ウィルソン、ジョン・ライス、フレッド・デュークス、クリス・ブラッドリーらを含むミュータント・グループ「チームX」へ2人をスカウトする。2人はチームに加わるが、ジェームズはグループの非人道的な行いに疑問を持ち、やがて脱退する。

……というのが序盤のエピソード。ぶっちゃけ、序盤はすげぇ短かったので全然話のキモと関係ないのでこの部分は分からなくてもいいかもしれない。

『もともとミュータント能力があって骨の爪が生える』『戦争で上官に逆らったのでならず者として生きることに』『銃殺刑になったけど再生能力もってたので無事でした』ぐらいのことを知っておけばいいかと。

んで、ミュータント能力がある仲間と一緒に暮らしていたが仲間のやり方に不満を持って反逆、ミュータントを利用して人体実験するミュータント仲間に立ち向かうというのが大まかなストーリー。

悪の組織に入ってたけど反逆して戦うというのはデビルマンを思い出しちゃうけど、ストーリーしては王道なのかな。

X-MENのキャラを全く知らないからアレだけど、いろんなミュータントが特殊能力で戦うのは非常にカッコよかった。

特に終盤の発電所の上での戦闘は見もの。テレポート能力を持った人間はいかにして戦うかという部分の解を見たような気がする。もうチートだろって思った。


さて。この映画はX-MEN ZEROという副題の通り、X-MENという大きな話の中のウルヴァリンをメインにした映画。つまりウルヴァリンというキャラの過去を描いた映画。

そのせいでラストが非常に微妙。ここ最近のハリウッド映画にありがちなんだけど、『続編があるかも!』みたいな終わり方は本当に勘弁してほしい。


という不満はあるけど、ミュータント同士の戦闘が非常にカッコよかったので全然問題なし。でかいスクリーンで見たほうがいい映画だったなぁ。

X-MENのストーリーどころかキャラすら知らないのだけれど、この映画で出てきたミュータントはX-MENに関わってくるのかなー。