夜更かし羊が寝る前に 〜君を探しに行くまでの物語〜

泣けるラブストーリーを探そうと思ってTSUTAYAで見つけた作品。結果として泣ける作品ではなかったものの、個人的には大満足だった。


主人公は作家で、自分の作品の中の女性が現実に見えてしまう病気に悩まされていた。そんなある日、コーヒーショップで作中の女性とそっくりな人を偶然目撃してしまう。何気なく名前を呼んだところ、名前も一致していた。


……という導入。これだけだとただのラブストーリーと一緒なのだけれど、実は主人公は事故で眠りに落ちたままだったというのがこの話の重要部分。つまり全部夢オチだったということ。

けれども、事故で昏睡し続けていたというのは割と序盤であかされる。では夢の中の女性とは何者なのか? いつ目覚めるのか? というところを徐々に進めつつ、主人公と女性の関係が進行しているのがとても良かった。

最初のうちはただのラブストーリーかと思っていただけに、中盤以降の恋愛展開と主人公が目覚めるまでの展開がしっかりと絡んでいて目が離せず、終盤で主人公が目覚めてからラストまでの展開もとてもさわやかで良かった。

現実世界と夢の世界を行き来しつつもちゃんと無理なく見せていたし、中盤以降の恋愛と現実との折り合いをつけつつ目覚めまで進んでいく展開が非常に見事だった。


余談だけど、夢の中でのロケットがあまりにも雑な作りで笑ってしまったのだけれど、夢の中だからこそと納得できた。せめて列車ぐらいにとどめておけば良かったのに。